「ノルスパンテープ(成分名:ブプレノルフィン)を使用して、毎日便は出ていたのが、2日1回程度になった。でも特にお腹の張った感じや苦しい感じはない」という症例に、どういう指導・説明をするべきか、なるべく根拠を明確にし、検討したいと思います。
※ブプレノルフィン:非麻薬性鎮痛薬で、疼痛治療の第二段階で用いられることが多い。
文献を確認すると、日本消化器学会と日本内科学会とで定義が異なり、以下のような内容です。
(日本消化器学会)排便困難や腹部膨満感など症状を伴う便通異常
(日本内科学会)3日以上排便がない状態、または毎日排便があっても残便感がある状態
参考文献:便秘診療についての最新の話題.2016年8月25日
http://asunorinsho.aichi-hkn.jp/wp-content/uploads/2016/09/2016_2801_05.pdf
また、厚生労働省のe-ヘルスネットには以下のような記載があります。
「便秘とは、便中の水分が乏しく硬くなる、もしくは便の通り道である腸管が狭くなり排便が困難または排便がまれな状態をいいます。通常は1日1-2回の排便がありますが、2-3日に1回の排便でも排便状態が普通で本人が苦痛を感じない場合は便秘といいません。しかし毎日排便があっても便が硬くて量が少なく残便感がある場合や、排便に苦痛を感じる場合は便秘といえます。」
以上より、便秘に関しては、現状では問題ないと個人的には考えます。
また、これ以上排便の間隔が長くなったり、お腹が張って苦しいと感じたら医師に相談するように説明しておくと薬を使用する側も注意しやすいのかなと思います。
<その他の副作用>
ノルスパンテープの添付文書で、臨床試験において多かった副作用は、悪心:62.5%、嘔吐:35.7%、便秘:33.7%、傾眠:30.3%、適用部位そう痒感:28.6%の順です。
便秘以外にもこれらの症状の確認が重要と思われます。
あとは重大な副作用である「呼吸抑制、呼吸困難」も重要であり、特に眠気は呼吸抑制の前段階のこともあると考えられています。
※悪心・嘔吐の耐性は投与(もしくは増量)後1~2週間で形成されると考えられている。
(ノルスパンテープIFに記載あり)